日本蜜蜂(ニホンミツバチ)の捕獲と金稜辺(キンリョウヘン)



福島の桃・あんぽ柿(干し柿)産直販売=大武農園

金稜辺蘭を利用した日本蜜蜂の捕獲
金稜辺
(キンリョウヘン)
金稜辺(キンリョウヘン)
金稜辺の花

金稜辺というのは、シンビジウムの原種の一種で、中国南部が原産地。日本では、東洋蘭のひとつとして古くから栽培されてきました。
この蘭の花の香りに引き寄せられて、日本蜜蜂をはじめとするトウヨウミツバチの分蜂(分封)群が飛来します。この金稜辺の分蜂群誘引力を利用して、ニホンミツバチの捕獲をします。

金稜辺の花です。この花の香りにニホンミツバチが引き寄せられます。蜜を集めに来るわけではなく、金稜辺が集合フェロモンのような臭いを出すためとされています。分封の時は、金稜辺に集まりますが、分封が終ると全く興味を示しません。また、蜜を集めることの無い雄蜂も金稜辺に集まる事からも、蜜を集めるために金稜辺に集まる訳ではありません。金稜辺にも蜜腺はありますので、花畑が出来るほど大量に金稜辺を咲かせれば、蜜を集めに来るかもしれません。
また、一部の情報として、キンリョウヘンがスズメバチのフェロモンを出すために、スズメバチを攻撃しようとしてキンリョウヘンに集るという説明をしている事があります。これは誤りで、そもそもニホンミツバチが、自らの巣を離れてスズメバチを攻撃する事はありません。ニホンミツバチがキンリョウヘンに集結するのは、基本的に、分封の時です。
金稜辺の品種紹介のページを作成しました。

金稜辺は、江戸末期から明治頃にかけて日本に持ち込まれた蘭だそうです。しかも当初は葉芸(葉の形や、葉に現れた模様の変化を楽しむ?)を目的としていたと思われますから、株を充実させるために花は咲かせないような管理が中心だったと思われます。金稜辺がニホンミツバチの分封群を引き寄せることが広く知れ渡ったのは、最近の事だとか。
日本列島が大陸から分かれて以来、長い時を隔ててめぐり合ったニホンミツバチと金稜辺・・・ニホンミツバチは幾多の世代交代の間も金稜辺の香りを忘れずに遺伝子に記憶していた訳で、生き物の不思議を感じさせられます。
ちなみに、ニホンミツバチ(apiss cerana japonica)は、大陸育ちのトウヨウミツバチ(apiss cerana)の亜種です。

分蜂(分封)・・・ミツバチの群れの分家のようなもの。古い女王蜂が群れの約半数の働き蜂を引き連れて、それまでの巣を離れ、別の場所で巣作りをします。

巣箱と金稜辺を設置
日本蜜蜂(ニホンミツバチ)捕獲用巣箱の設置

巣箱を柿の木の根元に設置しました。金稜辺は蜜蜂が花に群がると花がすぐに萎れてしまうので、ネットを被せて巣箱の上か横に置きます。
設置にあたっては、巣の入り口付近の外と内側にニホンミツバチの蜜蝋を塗っておくと良いそうです。さらに、内蓋(天井部分)にも薄く塗ると良いといわれています。
蜜蝋にもミツバチの誘引力がありますので・・・。
また、雨よけのためにトタン板を被せてあります。

この状態で分蜂群を待ちます。

捕獲用巣箱の設置時期・・・ニホンミツバチの分蜂は、桜(ソメイヨシノ)の花が終わった頃から始まるようです。福島では、桜が散って2−3週後から約1ヶ月後くらいが最盛期と思われます。目安として、桜が咲いたら巣箱を設置するのが良いかもしれません。夏にも分蜂が発生することがあるようですが、金稜辺の花が終わってしまいますので・・・。
捕獲用巣箱の設置場所・・・大木の根元付近、小屋などの建物の軒下など。夏場、直射日光が当たらないところ。見通しの良い場所。なるべく東向き・南向きに設置します。
金稜辺を使わない捕獲・・・金稜辺を使わなくても捕獲は可能です。ミツバチが営巣場所として好みそうな場所に巣箱を設置すると良いでしょう。過去に巣作りをしたことのある巣箱を設置すると、金稜辺に近い誘引効果があります。夏分蜂群やスズメバチに襲われるなどのために巣から逃げ出した群が入居する場合もあるようですので、夏の終わり頃までは設置しておくと良いと思います。
蜜蝋(ミツロウ)について・・・捕獲用巣箱の天井などに蜜蝋を塗る事で、その巣箱に、以前にミツバチが住んでいたと思うのか、分封群は安心して入居するようです。逃去・消滅などで空き家になった巣箱を、ある程度きれいに掃除して、分封時期に設置しておくと、高い確率で入居します。

偵察蜂
日本蜜蜂(ニホンミツバチ)分蜂前の偵察蜂1
日本蜜蜂(ニホンミツバチ)分蜂前の偵察蜂2

分蜂が近づくと、偵察蜂が巣箱のチェックに訪れるようになります。

1匹が2匹になり、2匹が3匹になり・・・

分蜂群が押し寄せる
金稜辺に群がる日本蜜蜂(ニホンミツバチ)分蜂群
日本蜜蜂(ニホンミツバチ)の分蜂

やがて金稜辺の花の香りに引き寄せられた大群が押し寄せます。

分蜂群は、素手で触ってもめったに刺す事はありません。蜜を腹いっぱいに吸って分蜂するからだとか。
金稜辺に群がるばかりで巣箱になかなか入ろうとしない場合は、手で掬って(あるいは塵取りなどで掬って)巣箱の入口付近に差し出すとゾロゾロと巣箱の中に入っていきます。

無事、巣箱に入居した蜂達は、金稜辺には興味がなくなりますので、使用した金稜辺は別の場所へ移動します。入居後の巣箱の側に、いつまでも開花中の金稜辺を置くのは、百害あって一利なしです。他の群の偵察蜂や別の分封群がやって来れば、入居済みの蜂達との間で喧嘩になる可能性もあります。早めに移動した方が良いでしょう。

捕獲した場所で年間を通して飼育可能ならば、巣箱は移動せずにそのまま飼育しますが、移動が必要な時は、夜間蜂達がみな巣箱に入った頃合を見計らって移動します。
その際、入居当日夜の移動であれば近い距離の移動も可能ですが、入居後日数が経過した場合は移動先は2km以上離れた場所でなくてはなりません。近距離の移動だと、働き蜂が元の巣の場所を記憶していて戻ってしまうからです。

巣箱から出入りする蜂
巣箱に出入りする日本蜜蜂(ニホンミツバチ)

巣箱から蜂たちが出入りするようになれば、大成功。
足に花粉を付けた蜂が帰巣するようになれば、子育てが始まった証拠だそうです。

ウェルカムドリンク
日本蜜蜂(ニホンミツバチ)捕獲群への給餌

分蜂群の入居後に天候が悪い場合など、餌不足になる事があるようです。
私のところでも、入居直後に餓死と思われる蜂が出た群がありました。
そのような時は、水と砂糖を重量比1対1で合わせた砂糖水を与えると群の勢いがが良くなります。
給餌する場合には、蜂が溺死するのを防ぐため、割り箸を浮かべるなどの対策が必要です。
また、給餌の時間は夕方暗くなってからが無難です。昼間給餌すると、餌の匂いを嗅ぎつけた他群の蜂が巣箱に入り込もうとして殺し合いが始まることがあるからです。

捕獲1ヵ月後
捕獲1ヵ月後の日本蜜蜂(ニホンミツバチ)巣箱内部

分蜂群が入居して1ヵ月後の巣箱内の様子です。
順調に巣作りが進んでいるようです。


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